この本が出版されたのは2001年初頭。
それから世界は9.11のテロを契機に、大きく変貌していってしまった。自衛隊もアフガン戦争における、インド洋での給油活動からはじまり、イラク戦争の後には地上部隊を派遣し、サマワにて給水活動を行っている。時代は変わりすぎた。
この物語は、南米エクアドルで起きた騒乱を鎮圧するために、自衛隊が多国籍軍として初の海外派兵を行う所から始まる。その中心として、最新鋭のイージス艦「みらい」は、米軍と合流するために真珠湾へ向かう。その途中、太平洋上にて突然の電波障害にみまわれた後に眼前に迫るのは、半世紀前に沈んだはずの戦艦「大和」だった。
時は日本が大敗北を喫したミッドウェー海戦時、日本機動部隊はアメリカ海軍の艦爆隊の攻撃を受けていた。巨大な艦が轟沈し、多くの日本兵が死んでゆく。それをみて人間として救助しようと主張する熱い小栗三佐。しかし「みらい」の兵装はこの時代では絶対的のもの、戦闘へ、歴史への介入を拒む冷静な菊地三佐。その二つの思いに交差する角松副長。結局、「みらい艦長」梅津一佐が下した決断は、戦闘への非介入と横須賀への帰港だった。
途上で発見したのは墜落した零式水偵、敵機の襲われ銃弾まみれの飛行機は、まだ行きがありそうな将校とともに沈みかけていた。それは戦争においてはあたりまえともいえる光景であった。しかし、目の前にいる、生きられるかもしれない人間を助けたのは角松副長だった。
助けた将校は、帝国海軍のエリート、草加少佐。運命の歯車がしだいに狂い始めていく。救助活動のため停船していた「みらい」に攻撃をしかけるアメリカ潜水艦その攻撃を回避し、戦闘不能まで追い込む「みらい」
その勇姿を見た草加は60年後の未来からやってきた「みらい」の中で、日本の未来を知ろうとする。彼が抱く思いはいかなるものか...
時代は変わる、この「みらい」の自衛官と帝国海軍軍人・草加との差は大きい。日本はあの敗戦によって何もかもが大きく変わってしまったのだ。あの戦争とは何だったのか、それを裁こうという考えがまた色んな所で噴出しているが、全くおかしな話である。
時代が変わったのは明白だ、だからこそ考えたい、これからの日本というものを。過去に目を向ける事も大切だが、「みらい」を描く事こそが我々の使命ではないだろうか?
